今まで一度たりとも踏み入ったことのない、その房室の大きな牀榻を目にした瞬間、腕の中で微かに震えた少女を、男は固く抱き締めた。
 決して、逃がす気はないのだと───そう、伝える為に。
 少女を抱いたまま臥牀に上がり、そっと、褥の上に横たえる。跨ぐように膝を付き、縋る目で自分を見つめる、その顔を、両手でそっと包み込んだ。














 この手中に、愛しい貴女(ひと)が、いる。
 そう思うだけで、熱を帯びる身体。















 何事か呟きかけた唇を優しく塞ぐと、欲望のままに舌を絡め、甘い吐息を貪り続けた男だったが、苦しそうに涙を浮かべて身を捩る少女に気付き、はっと我に返る。
 許しを請うように、目尻に溜まった露を舌で掬い、そのままゆるゆると辿らせた。
 頬へ……耳朶へ……首筋へ……
 そうして、既に乱れた襦の襟元を、大きく広げる。
 少女が、ひ、と、息を呑む微かな声が、無音の房室に落とされた。
 無意識に胸元で組まれた細い手首をしっかり掴んで、押さえこむ。
「───どうか、力を抜いて…下さい」
 まだ、誰も触れたことのない、滑らかな肌。
 唇を啄ばみながら囁き、喉元にきつく吸い付いて、その肌にそっと頬擦りし、何度も口付けた。
 無垢な娘の肌は、いつの時も男を満足させたが、異国から来たこの少女はきっと、何物にも替え難い、至上の喜びを男に与えるだろう。
 本来ならば、決して触れることの出来ない───神の身体なのだから。















 ───神は、一体どのような味がするのだろうか──────














 身を委ねる少女を抱きながら、男はただ、不埒な興味と行為の中へ、自らを沈めていった。











 紡がれる言葉も。
 熱い吐息も。
 頬を伝う涙も。
 仄かな体温も。
 少女の奥から次第に醸し出される、甘い匂いも───




 全ては今宵…自分だけのもの。









2002.11.21 了




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めれーなさんのボジョレー・ヌーヴォー編です。ボジョレーといえば『初物を存分に味わい楽しむことに意義のある』ブルゴーニュのワイン。もう、何も言いますまい。初物なのです。初物なのですよ皆さん!!ええと、こちらは既に本家さんでアップされていたのですが、広い行間がものすごく妄想を呼ぶので、タグごとコピーしてしまいました。ボジョレー解禁日、11月21日の部分含めて・・・(今頃蔵に入荷してもな・・・トホホめれーなさんごめんなさい!!)無垢な娘の肌は、いつの時も男を満足させた・・・の一文が騒動を呼んだのは皆さんの記憶にも新しいですよねうーふーふ。